Essay
「World Skills Australia と歩幅 November 2006」
24 th November 2006
「 World Skills Australia と 歩幅 」
踏み切る所の瞬間。
その自らの意思の中に自由が伴う。
一事悟る。
I am thrilled to have you accept our invitation! ・・・ and fascinated ・・・・
妙にぐんと爽やかな心情の交感。
ズームインされていった。
当日、会場で出迎えてくれたコーディネーターのオージー女性。
この方、実に人当たりが柔らかい。
大学でコミュニケーションスキルを専攻していたという。
彼女のオファーにより今回の機会が設けられた。
肝心なのは行動であり結果である。
彼女は忠実(まめ)に連絡をくれた。
真心誠実が強く感じられた。私もこの意に答えたい。
シドニー中心部から車で 10 分程の所にある波止場、 Jones Bay Wharf 。
この埠頭の中に Doltone House がある。
何の変哲もないレンガ造りの一角の会場での演奏となる。
これから社会へ踏み出す職業教育訓練者の模範となる彼ら、彼女達の 2007 年日本で国際大会が開かれる“激励壮行会”といった感じの式典であった。チェアマンの Bob は和太鼓に興味を示す。いわゆるスティック(ばち)を使いドラム(太鼓)を叩く事に親しんでいる。押し付けは意味がないが、本人が興味を持つ事なら効果がある。コミュニケーションツールとしての話題が広がる。
一瞬の張りつめた空気。
“ずいっと”入ってゆく瞬刻。
最前列には、 Hon Gary Hardgrave MP 大臣( Minister for Vocational and Technical Education )その横に、在シドニー日本国総領事館、川田司総領事が参列されている。そして、数多くのメディア関係者の中での緊張感ある空気であった。
自分の中で、 2006 年日豪交流年に於ける幕引きとなる公式演奏と悟る。
今一度、丹念に見つめオーストラリアでの自己を現す「“黒桶太鼓”」の意識と事象が絡み合う至誠通天。
大臣入場の際に“篠笛”を吹き、その後太鼓演奏に入った。
鉄筒、締、宮と“黒桶太鼓”もふんだんに使った。(音が微妙にずれる) “奏”が人に触れた瞬間、何かしら心が動く。 そして、太鼓の中に住む神仏様が天から降り、通天奏となる。
この鼓界、“機”ある度に“鍛錬”させて頂いている。
その瞬間がある。
切り捨てる決心と“黒桶太鼓”から始まった一歩に新たなアートを追い求めつつ終わりなき鍛錬が続く。 等価は地道に地味であり続ける。
そこには楽しみ方の多様化の発想が生じる。
結果は自らが背負う覚悟が要る。
日々の暮らしの中の切実な現実。
自他、口一文字に言わない意志を感じる。風刺(ふうし)的な目も生ずる。
長閑(のどか)な感じを懐かしむ時、また時が動いている。記憶は意外と温かみがあるものだ。
その微妙な温かい味わいは捨てがたい。
甘すぎるようだが、甘くない親しさ。
きっぱりした思いが、その一歩。
歩幅が時になり、歳月流れる。
流れ去る所、歩の重心をかける。
流れゆくものに余情が生じる。
合掌